2009年1月アーカイブ

「オートバイで300km/hの世界ってどんなもんなんですか? この前、第三京浜で友達がハヤブサで300km/h以上出したって言ってるんですがホントですかね?」

だいぶ前だが、こんな電話がケンツにあった。いやいや速度無制限のアウトバーンだったらともかく、公道で300km/h出しちゃイケマセンて。逮捕されちゃいますよ;^^A。

 

まあ、その300km/hの世界だけど、僕はレースだけでなく雑誌やメーカーのテストライダーを務めていたので、その世界のスピードは幾度となく経験している。茨城県にあった谷田部テストコース(1周6kmで4つの45度バンクを持つオーバルコース)で光電管を使用して最高速のテストを何度も行い、実測値で308km/h強の最高速をマークしたこともある。

言ってみればこの速度が公式的には僕の生涯最高速度レコードだろう。公式的、というのはレースでは最高速が公式データとしてリザルトに載るわけではないし、またスピードメーター読みと実測値では当然誤差というものがある。ちなみにそのとき(308km/h)のメーターは確か320km/h以上を示していたから、実測とは5%近い誤差があったことになるのだ。

 

こんなこともあった。ハヤブサのワールドワイド発表会試乗会がスペインで行われたときのことだ。僕は某二輪雑誌のテストライダーとして参加、まずはカタロニァでサーキットインプレッションを行い、翌日は一般公道のテストがスケジューリングされていた。一般公道とは、それこそ普通の街中からワインディングロード(古いお城がいっぱいあって綺麗な峠道だったなぁ)、一部区間が速度無制限のハイウェイまでと、異国でハヤブサの性能を堪能できるスケジュールだった。

じつは僕らの雑誌にとって、このハイウェイでのハヤブサが誌面の勝負どきだったのだ。

 

「速度無制限のハイウェイで300km/hをオーバーしているハヤブサのスピードメーター写真を扉ページにしましょうよ。ドカーンとカラー見開き2ページで!」

スペインに行く前のページ制作打ち合わせで、担当の編集者が小鼻をヒクヒクさせてこう言った。しかもそれがサーキットではなく一般のハイウェイであるという証拠のため、メーターの前方にクルマが豆粒くらいの大きさで数台写っている写真がいいと、シチュエーションまで指定してきたのだ。

そう、今回のハイライトがこのハイウェイ300km/hオーバー証拠写真だったのである。

「サーキットで300km/h出すのって当たり前でしょ。一般公道というか、混合交通のハイウェイで300km/hオーバーっていうのがスゴイんですよ!」

そんなもんかぁ? しかもハイウェイ? アブネーよ... 僕は心の中でつぶやいた。が、根性ナシ、チキーンと思われるのがイヤだったのだろう。しかも僕は過去に谷田部テストコースでニンジャをフルチューンしたオートバイで300km/hオーバーメーターの写真を撮ったことがあったので、結果的にOKを出した。

 

指定された150kmほどのそのハイウェイの中で、速度無制限区間は50kmほどあったと記憶している。街中からワインディング、そしてハイウェイと粛々とテストは進み、いよいよ速度無制限区間に突入した。よし、行くぞ!! 平日の昼間ということもあろう、交通量は極端に少なく天気も上々、ハヤブサをドッカーンとフル加速させた。

その撮影方法だが、スピードメーターに照準を合わせた小さいカメラをガソリンタンクの上に固定し、レリーズシャッターを左グリップまで引っ張ってきて300km/hオーバーのその瞬間を激写する。こんな手法である。これで先の谷田部も成功しているのだ。

ハヤブサはホント、260km/hくらいまでなら瞬時に達してしまう。そこからさらに加速し、スンナリ290km/hまで簡単にメーターを刻む。さすがハヤブサといえど、そこからはジリジリ速度を上げていく、という感じだ。そして当時はスピードリミッター未装着だから実測で300km/hオーバーの世界を堪能させてくれたのだ。

しかし、しかしである。じつを言うと僕はこのときまで公道で300km/hオーバーの経験はなかった。ハイウェイでメーター読み290km/hからジリジリ加速して300km/hオーバーを示した途端、それまで遥か前方の豆粒にしかすぎなかった4輪があっという間にスクリーン越しに大写しの存在となる。ウォー、追突しちまう〜 スロットル全閉... どころかたまには急ブレーキング!!

 

50kmほどの速度無制限区間で、これを何回繰り返したことか。スロットルは引きちぎれんばかりの全開でメーターを凝視、おお、もう間もなく300km/hオーバー、よしシャッターを... ウォ〜またクルマがぁ!! ちなみに時速300kmということは秒速83m!なワケである。1秒間にはちじゅうさんメーターも進むんだよ〜

速度無制限区間は間もなく終わりとなってしまう。それまでなんとか2回ほどレリーズシャッターを押したが、果たして写っているかどうかは現像してみないとわからない。つまり、300km/hを完全にオーバーしたぞ、おーし、シャッターオン!! というチャンスがほとんどなかったのである。クルマに追突しそうな恐怖に抗いながらヤケクソに押したシャッターが、たった2回なのだ。

しまいにはこのアイデアを出した編集担当者の顔が脳裏に浮かんで来て、「あんの野郎、こんなアブネーことさせやがって!!」と逆恨みする始末... うん、できる、できる! なんてクールに言っていたのはどこのどいつだ、である。

最後のチャンスだ、ウォー、どいてどいてどいてー!! どいてくれぇー!! お行儀悪くパッシングの嵐を遥か遠くのクルマに浴びせながら僕はシャッターを押し続けたのでした。

結果ですか? なんとか1枚だけ写っていました... スペインまで行って約束したことが出来ないなんてオトコがすたる! それだけの思いでなんとか1枚だけ成功させた、と言っても過言でなないかも...

 

一般公道というか、高速道路での300km/hオーバーっていうのはこんな感じです。正直言ってサーキットやテストコースとは比較にならないくらいアブナイ世界です。もう風圧がどうのこうのというより、周りのすべてのクルマの動向に神経を100%集中させることだけが命綱です。ですから良い子のライダーは絶対やっちゃイケマセン!! だいいち冒頭でも言ったように日本ではカンペキに法令違反ですから...

 

この前第三京浜でメーター読み320km/h出したぜぃ。いやいや、僕にはもちろん、普通の神経を持つ常識人だったら絶対できません。だいいち第三京浜がそんなに空いているワケないでしょ。夜だった? それはもうロッシにだって絶対に不可能って言い切っちゃいます!!

ハヤブサ走り.jpg

新型ハヤブサと僕です。これも富士スピードウェイにて。もちろん文中のスペインでの試乗会ではありません、念のため。

 

スケジュール埋め立て中?

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早いもので2009年も1ヵ月が過ぎようとしています。明後日から2月という一番寒い時期を迎えるんですね。

正直言ってもう寒い気候は飽きました!! あの40℃のクソ暑かった夏が恋しいこのごろ、そのときはもう永遠に冬なんか来ないと思っていたのになぁ...?

 

さて年頭に購入した手帳の年間予定表欄が、ここに来てどんどんスケジュールで埋まってきました。って、悲しいことにもちろん出張仕事でです。

3月から7月にかけての週末はほとんど全滅って感じで、もはやその間に出張しない週末は月イチくらい。それでもシーズンオフの2月はつい先日まで余白多しだったんですけど、いま手帳を開いてみると... おお、もう黒っぽくなっている〜;^^A

 

その2月は極寒のサーキットでの走行仕事が何日か入ってますが、スペシャル防寒テクニックを駆使して乗り切ろうと思ってます。体はともかく、両手さえ完全防寒対策すればサーキットで30分くらいの連続走行はなんとかなるんですよ。

まずフロントカウル部にプラバンかなんかで作ったナックルガードをガムテープでしっかり留め、薄手のラテスキングローブ(パーツ洗浄仕事なんかで使ってます)をしてからレーシンググローブを装着する。これで手の暖かさは全然違います。

ついでにバラしちゃいますが、なんと筑波サーキットのインストラクター車は全車グリップヒーターが装着されているという完全防寒対策車です。

 

ちなみに2月の空いている週末にプライベートツーリングなんかどう? という元気なお誘いはいまのところ入っていません!? 

サーキットだけでなく、早くワインディングロードも走りたいなぁ...

早く暖かくなれ〜!! ってやっぱりいつもの言葉が出ちゃうこの頃ですね。

 

スクール12.JPG 

昨年の12月25日、ケンツクリスマスライディングスクールでのスナップ。筑波サーキットのS字を走る受講生のみなさんです。このときは気温16℃とメチャ暖かったなぁ(^^)

 

世界同時大不況...だけど!

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100年に一度の世界同時大不況と、世の中に重苦しいムードが漂っています。

確かに見るもの聞くもの、すべてがネガティブなことばかりで...

 

ある経済研究所の見通しによると、今年3月期における日本の各企業の業績発表は最悪の結果になるという。要約すると下記にようになるらしい。

〇国内企業の7割が減収減益になり、その半数以上が赤字決算となる。

〇これによって株価は急落、6,000円を割り込み、一時は5,000円台になる。

〇世界同時不況の震源地アメリカでは、ビッグスリーの自動車産業やシティバンク、JPモルガンなどの金融関連企業などの業績不振で円高が一層進み、4月後半の為替は1ドル70円から60円後半まで高騰する。

〇円高の高騰によって国内の自動車産業や電器産業といった輸出基幹産業は大打撃を受けてさらに株価下落につながる。

〇大手銀行や証券各社などの金融関連企業や一般法人、各種団体に機関投資家などが保有しているデリバティブ金融商品の損失が急激に表面化してくる。その損失金額は世界で6京円(兆の1億倍というケタ!)という想像を絶する数字になる。

〇年二桁の経済成長を続けていた中国も、最大の輸出相手国アメリカの経済急落により、今後の中国経済の伸長は急激にブレーキがかかる。

僕はこの記事を読んで眉間に皺がよるどころか、思わず笑ってしまった。

デリバティブ金融商品だかなんだか知らないが、価値や実態のないモノに価値付けして複雑に仕組まれて急激に膨張した金融商品でマネーゲームしていたんでしょ。世界の一部の強欲な人たちが。

株価が5,000円になろうと円が1ドル60円になろうが知ったこっちゃない。というか、僕の力ではこれに対してなにも抗うことはできない。

ひとつ言えることは、こういう時こそ自分に大好きな趣味や仕事があって、それに打ち込める嬉しさ、楽しさ、素晴らしさを再確認するってことですよね。

ケンツが北川圭一を擁して、全日本ロードレース選手権や鈴鹿8耐で勝利することを最大目標としてレース活動していた数年前、正直言って経済的には苦しいことばかりだった。全日本で勝っても儲かるどころか出費がかさむだけだった。8耐でファクトリーを相手に毎年トップ争いを繰り広げてピットでは必死になっていたが、これもパドックを一歩出ると、金銭的なやり繰りにアタマを悩ます現実の世界に戻らなきゃならなかった。

でも、レースが、オートバイが好きだからやり続けられたと思う。ガキのころからオートバイ一直線で、レースに出て雑誌テストライダーになれて、そして国際ライダーになれて、ケンツが創立できて...

レースの決算なんか一度も儲かったことはない。ケンツではあの90年代のバブル時期も経験したけど、その後の厳しい反動大不況だって経験した。

そのケンツはおかげさまで27期めを迎えようとしている。

このブログを読んでいただいているみなさんも、いまの経済環境でいろいろ大変なことでしょうけど、みんなオートバイが大好きなひとばかりだと思います。こんなときこそ好きなことに打ち込みましょう!!

3月になったらケンツHPでツーリング企画を催しますので、みんなで不況を吹き飛ばす走りを楽しみましょうね!!

 

 

 北川圭一と藤原克昭のコンビで臨んだ2003年の鈴鹿8耐。結果はみなさんご存じだと思うけど、今になってはいい思い出、...かな!?

ブログが変わりました!!

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今日は冬のお天道様が穏やに微笑んでくれて、寒さも一段落です。

んー、でも早く暖かくなって欲しいですね。

 

ケンツホームページのブログが変わりました。流行の言葉でいうと、チェンジされました!

社長部屋がケンザブロクへ、メカブログがスタッフブログへチェンジです。

社長部屋は今まで通りケンツ代表の川島賢三郎が、スタッフブログはケンツのスタッフ全員が書き込みますので、今まで同様よろしくお願い致します。

B-KING走り1.jpg

B-KINGで富士スピードウェイをかっ飛ばしたときのスナップ。 けっこうグッドハンドリングなヤツですよ!